アンケート分析で顧客インサイトを発見し、マーケティング戦略を再構築

Biデータサイエンスは、単なるデータ分析に留まらず、お客様のビジネス課題の本質的な解決にコミットします。ここでは、アンケート分析を通じて顧客インサイトを発見し、マーケティング戦略の再構築に繋げた具体的な事例をご紹介します。

【お客様の課題】

ある飲料メーカー様は、新商品の市場投入を控える中で、既存商品の顧客層を深く理解し、効果的なマーケティング戦略を立てる必要がありました。これまでのアンケートでは、顧客のデモグラフィック情報(年齢、性別など)は把握できているものの、なぜその商品を選んでいるのかという心理的・感情的な側面が不明瞭でした。その結果、次のアクションに繋がる具体的なカスタマーインサイトが得られておらず、漠然とした戦略しか立てられないという大きな課題を抱えていました。

【Biデータサイエンスによるデータ分析の実施】

お客様から提供された数千件に及ぶアンケートデータを基に、単なる集計やクロス集計に留まらない、高度なデータ分析を実施しました。顧客の行動や評価の本質を明らかにするため、多変量解析の代表的な手法であるクラスター分析と因子分析を組み合わせて用いることで、膨大なデータの中から隠された顧客の価値観を可視化しました。

分析プロセスの詳細

  • データクレンジングと前処理
    アンケートの生データには、無回答や矛盾した回答、自由記述によるテキストデータなどが含まれていました。これらを統計解析に適した形式に統一し、数値データに変換する作業を丁寧に行いました。特に自由記述のテキストは、キーワードの出現頻度などを用いて数値化し、分析に組み込みました。
  • 因子分析
    顧客が製品の何を評価しているかを特定するため、アンケートの評価項目(例:「パッケージのデザイン」「味が好み」「健康に良い」「価格が手頃」など)に対して因子分析を行いました。その結果、これらの多数の評価項目が、統計的に関連性の高い少数の潜在的因子(今回は「機能性」と「デザイン性」)に集約できることを明らかにしました。これにより、顧客が持つ評価軸の本質を捉えることができました。
  • クラスター分析
    因子分析で得られた「機能性」と「デザイン性」の2つの因子スコアを基に、顧客を類似性の高いグループに分類するクラスター分析(階層的クラスター分析および非階層的クラスター分析)を実施しました。これにより、統計的に最も妥当な数のクラスター(今回は4つ)に顧客を分類し、それぞれのセグメントの特徴を明確にしました。

【統計学的に配慮した点・工夫】

  • 欠測値処理の適切化
    無回答データを単純除去するとサンプル数の偏りや情報損失につながるため、設問内容や回答分布に応じて「平均代入」「多重代入法」などを検討し、分析に歪みが生じないようにしました。
  • 因子分析の妥当性確認
    因子分析を行う際には、サンプル数と変数数のバランスに注意し、KMO(Kaiser-Meyer-Olkin)検定やバートレット球面性検定を用いて因子分析が適用可能であるかを確認しました。また、因子数の決定には 固有値基準やスクリープロットを併用して統計的妥当性を確保しました。
  • クラスター数の決定根拠
    クラスター分析では「見た目」で分類数を決めず、樹形図の分岐やエルボー法、シルエット係数などの客観的指標を利用して、統計的に安定したクラスター数を採用しました。
  • 外れ値・極端値の扱い
    アンケート回答の中には極端に偏った値が見られる場合がありました。 外れ値を除去する前に、その回答が「入力ミス」か「実際の少数意見」かを検討し、必要に応じてロバスト統計手法を活用しました。
  • 結果の再現性と安定性
    クラスター分析の結果がデータ分割や初期値に依存しすぎないよう、階層的手法と非階層的手法を併用し、結果の一貫性を確認しました。また、ブートストラップ法による安定性の検証も行いました。

【分析結果から得られた示唆】

このデータ分析により、お客様が当初想定していた「健康志向」の顧客層とは別に、「機能性よりデザイン性を重視する若年層」が一定数存在することが明らかになりました。彼らは、SNSでの共有を目的として商品を選ぶ傾向が強く、視覚的な訴求がマーケティング効果を高める鍵であることが示唆されました。また、この層は既存のプロモーションには反応が薄いことも判明しました。

この貴重なインサイトに基づき、お客様には、「デザイン特化型」の新商品開発と、SNS映えを意識したデジタルマーケティングキャンペーンの実施をご提案しました。これにより、新たな市場セグメントへのアプローチが可能となりました。

【補足】

※本事例は、実際に担当したプロジェクトに基づいておりますが、守秘義務の観点から、一部の内容を顧客およびプロジェクトが特定されないよう改変して掲載しています。

最新のお知らせ