Webアクセス分析から解き明かす、コンバージョンを妨げる真の要因

Biデータサイエンスは、統計的アプローチを用いてお客様のビジネス課題の本質的な解決に貢献します。ここでは、あるWebサービス企業様の顧客行動ログを題材に、機械学習を用いた高度な予測モデルを構築し、その有効性を客観的に検証することで、顧客離脱防止に向けた意思決定に繋げた事例をご紹介します。

【お客様の課題】

あるWebサービスを提供する企業様は、サービス登録後や特定のキャンペーン実施後に、なぜ一部の顧客がサービスを利用しなくなるのかを明確に特定できていないことが大きな課題でした。従来の分析では、単なる行動データの集計に留まっており、顧客のどのような行動パターンが将来的な解約(チャーン)に繋がるのかを予測することは困難でした。経営層からは、漠然とした「手応え」ではなく、将来の顧客離れる兆候を事前に捉え、効率的にリテンション施策を実行するための、信頼性の高い予測モデル構築が強く求められていました。

【Biデータサイエンスによるデータ分析の実施】

ご提供いただいたのは、Webサイト上での顧客の行動データ(サイト訪問頻度、特定のページ閲覧時間、機能の利用有無など)でした。これらのデータは、複雑な要因が絡み合った結果であり、単純な相関分析では真の関係性を捉えることは困難です。そこで、過学習(トレーニングデータに過剰に適合し、未知のデータでは精度が低下する現象)を防ぎ、モデルの汎用性を確保するために、K分割交差検証という厳密な検証手法を適用しました。これにより、予測モデルの精度を客観的に評価し、ビジネス上の意思決定に耐えうるモデルを構築しました。

分析プロセスの詳細

  • 予測モデルの選定と構築
    顧客がサービスを継続利用するか、あるいは解約するかという二値的な結果を予測するため、ロジスティック回帰モデルを主要な分析手法として採用しました。また、解約までの期間を分析するために、生存時間分析の一種であるCox比例ハザードモデルも併用し、時間軸を考慮したより詳細な解約要因を探索しました。
  • K分割交差検証によるモデル評価
    構築したモデルの予測精度を客観的に評価するため、K分割交差検証を実施しました。この手法では、全データをK個のグループに分割し、K-1個のグループを学習データに、残りの1個を検証データとして用いるプロセスをK回繰り返します。これにより、データ全体を効率的に活用しつつ、モデルが未知のデータに対しても高い予測能力を持つことを証明しました。
  • 最適なK値の決定
    K分割交差検証では、分割数(K)の選択が重要となります。Kの数が大きいほど学習データが増え、モデルの精度が向上する一方で、検証データが少なくなり、モデル評価の信頼性が低下するジレンマがあります。このトレードオフを考慮し、一般的にバランスが良いとされるK=5を選択しました。この決定により、モデルの精度と評価の信頼性の両方を高い水準で確保しました。

【統計学的に配慮した点・工夫】

  • モデルのロバスト性の担保
    単一のモデルで評価を完了するのではなく、K分割交差検証という手法を導入することで、モデルが特定のデータに過剰に適合するリスクを排除しました。これにより、構築した予測モデルが、将来の新しい顧客データに対しても高いパフォーマンスを発揮することを証明しました。
  • 評価指標の多角的な検討
    モデルの性能評価には、単なる正答率だけでなく、精度(Precision)、再現率(Recall)、そして両者のバランスを取るF1スコアなど、複数の指標を組み合わせて評価しました。これにより、ビジネスの目的に応じた最適なモデルを提示しました。例えば、解約リスクの高い顧客を漏れなく特定することが重要な場合には、再現率を重視した評価を行いました。
  • 時系列データの特性を考慮した分析
    顧客がサービスを解約するまでの時間(生存時間)を分析することで、いつ頃解約が起こりやすいのか、またどのような要因が解約を早めるのかを定量的に明らかにしました。これにより、単なる「解約するか否か」の予測に留まらず、顧客へのアプローチタイミングを最適化するための深い洞察を提供しました。

【分析結果から得られた示唆】

本分析により、Webサービスにおける顧客の離脱は、特定の行動パターンと強く結びついていることが明らかになりました。構築した予測モデルは、高い精度で解約リスクのある顧客を事前に特定できることがK分割交差検証によって証明されました。この結果に基づき、企業様はモデルを用いて解約リスクの高い顧客をリアルタイムで特定し、パーソナライズされたメールや特別オファーの提供といったリテンション施策をタイムリーに実行できるようになりました。これにより、限られたマーケティングリソースを最も効果的な層に集中させ、顧客の離脱率を抑制し、最終的な顧客生涯価値(LTV)を最大化できる明確な根拠を得ることができました。

【補足】

※本事例は実際の分析プロジェクトをベースにしていますが、守秘義務の観点から題材や内容を改変し、顧客およびプロジェクトが特定されないように配慮して掲載しています。

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